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(2014-9-25)

大雨で残念。

今日予定していたY山調査。地元の方の以前から熊の目撃がある山域で、僕はまだちゃんと調べていない場所だったので、今日は朝から登るつもりで楽しみにしていたのだが早起きしたら村上も大雨。
悔しい。
標高600mの低山とは云え、周囲には「土石流危険渓谷」が幾つかあるので無理は出来ない。残念だが、隣のY山を無理無い程度に見てみようと、林道を上がった。
いつもバックパックに仕舞われているパタゴニアのトレントシェルジャケットを広げて着る。 鮮やかな赤を選んだのは、11月15日から始まる狩猟期間に、間違って撃たれないように目立つ為だ。 熊より怖い誤射。特に、散弾銃で腹を千切られるは恐ろしい。ライフルで貫かれるより苦しむばかりで。「熊に見つからない」と云う視点だけなら、全身を黒で固めた方が有利だが、狩猟期間や時期を問わない有害獣駆除での誤射を恐れると、幾つか目立つ色を着用すべきと思っている。
さて、今日は登るつもりはなかったが、近くまで来ると雨の中でも入って行きたくなる。
つい少しだけ斜面を上がり始めたらすぐに右斜面が崩れており墜ちてきた木々が登山道を塞いでいる。
くぐって行く事も可能だが、冷静になり、(何かあったら迷惑千万だな…)と引き返す。
考え直し、中腹より下の森を探る。勿論 雨の中。
自分にとっても熊にとっても、音、視界、匂いが利きにくい日だ。
森も湿って暗い。 気を付ける。
踏み路の両側に、熊が隠れれるのに充分な深さの薮がある。大丈夫だとは思うが、こういう場所では反射的に左腰に提げた剣鉈に手をやる。鞘から出し、右手でクルッと回し構える。 手首のストレッチと気持ちのウォーニング・スイッチを入れる為のいつもの癖だ。
その場所を抜け少し歩くと、こうした山に珍しい広めの開いた斜面がある。
ここでは今まで「マムシ」「脇の薮を獣が動いた音」「熊の枝折り」等を見て来た実績がある場所だ。
強い雨のせいで、ジャケットのフードが視界を狭める。警戒しつつ、ゆっくり上る。 木と木の間隔が広い場所に立つ。 説明しがたい違和感を感じ、足元に目をやる。
コロコロと、沢山のノウサギのフンがあった。ノウサギの来る場所だったのだ。
(そうかそうか。まだこの山では見ていないが、ちゃんとノウサギがいるんだな。良かった良かった。ノウサギがいればクマタカもオオタカもいる。先回はサシバも見た。色々な猛禽がいて熊がいてカモシカがいてアナグマがいて猿がいて…本当に豊かな山だ)、と、緊張しつつも独りマニアックな喜びを覚える。
さて、もう少しだけ上がってから林道に戻ろう。
あっ……




(2014-9-24)

地図に無い路も。

TVやラジオや新聞は云う。「熊のいそうな場所、出没目撃情報のある場所には近付かないように」、と。
だが、熊追いは、熊を見たい者は、充分な知識と装備を得た上で、熊の四季の食跡、痕跡、熊そのものに近付かなければ熊を見れない、熊に遭えない。
熊は人を避ける。特に、自分を追う者からは徹底的に隠れる。
昨夜入ったベアカントリーの山の裏側へ。
今回は先日インストールした「カシミール3D」と「DIY GPS」の実力を試す機会にした。
結論として、IPhoneの通信回線が全く無い場所でもこのシステムは正確に山中の現在位置を示し続けてくれた上、地理院地図には無いルートでの軌跡、高度、高低差、距離長等をトラックログで記録してくれた。
そのトラック上で、写真の「葉を付けた生きた状態のまま折られたナラの枝」や「今夏、アリ狙いで壊された朽ち木や倒木」、「食べられた栗の木」の熊痕をまた多数見つけた。
どこかから静かに伏して、自分を探す僕を見ていたに違いない。
山中を徘徊した後、緩い坂を上ると林道の奥の奥に停めたエクストレイルが見えて来た。屋根の上には折れた木が垂れている。 少し 安堵がやって来た。




(2014-9-24)

続く緑の回廊は、熊山の裏側。

訪れる人はたまに林業で来る人か、少量の椎茸の原木栽培をしてる人位のこの山林線は、いつ来ても実に静かで美しい緑のトンネルが続きます。
この地の裏側の斜面では、沢山の「熊出没注意」の看板が立っていて、熊の目撃があります。 なのにこちら側でそんな看板や目撃話が報告されないのは、単に人の訪れる機会が少ないからです。 熊の皮剥ぎや枝折り、食べられた栗の空イガはあちらと同じように見られます。
訪れる人もまれで、熊達ものびのびと生きているようです。