イチゴ+ミルク+シロップ+ホイップ。
1年に少し欠けた留学の終わりが近付いて来たその秋。留学先の大学に既に留学していた日本人先輩二人が、「記念に西海岸を下から上まで縦断しようぜ。俺達もまだしてないしな。」と誘ってくれました。
10日間、ミニバンを走らせ続けたそのアメリカ西海岸縦断の旅の目的地はオレゴン州ポートランドのオレゴン州立大学でした。そこに先輩のアメリカ人のガールフレンドが大学寮の寮長をしていて、僕らもその寮で泊まるのでした。
ラスベガスでカジノに行き、フーヴァー・ダムを見学し、カリフォルニアの海岸線を延々ドライブし、カーメルでレストランに立ち寄り、夜は美しいカーメルの街を観光し、ロスで「おぉー、こえぇ」と車内でビビリながら少し治安の良くない地域を走り、サンフランシスコでフィッシャーマンズ・ワーフでシーフード料理を摘み、なぜかサンフランシスコで僕はLAラムズのスタジャンを買い、車内で着続けて…。
そんな旅の間、食事は毎日毎回のようにダイナーやハンバーガー・レストランやガソリン・スタンドの軽食でした。
ダイナーの時、僕が必ずオーダーしたのは「ストロベリー・シェイク」でした。シェイク…と言って、マック・シェイクを思い浮かべるのとは全くの別物でした。
ダイナーのおじさんやおばさんが、ステンレスの大きなジョッキに「バニラアイス、ミルク、ストロベリー・ジャム、シロップ」をたっぷり入れて、専用のホイップ・マシンにジョッキを置いて、「ウィーン」とゆっくりミキシングしたのを大きな大きなグラスに注ぎ替え、僕の元に持って来てくれる一部始終を、毎回いつもワクワクしながら見ていたものです。
これは本当に、とんでもなく美味しい代物でした。パワフルに美味しかった。
あの時、大学1年の終わり位だった僕は、まさか自分の将来に料理に携わる仕事をするなんてほんの少しも考えたり予感したりもしていなかったのですが、あの時代に食べたアメリカの料理やデザートがまさか今の自分にこれ程大きな影響を及ぼすであろうとは今さらに驚いています。
写真のストロベリー・シェイクもまさにそこからインスパイアされてますし、今日山ほど焼いたステーキ・セットの盛り付け方も、あの時代に大学の食堂で月に1度ある「ステーキ・ディナーの日」のステーキ(…バイクスのステーキ肉とは違い、とんでもなく固かった…)のディッシュの雰囲気を盛り込みました。
土曜日…薫サンやアイちゃんが揃ったので、「本当のシェイクって飲んだ事ある?」って尋ねたら、皆「ないない。飲んでみたい」と言ったので、自家製ストロベリー・アイスからシェイクを作って上げました。
美味しい初めての物を食べた時の女性特有のリアクション…口に付けた最初、静かに味わい、しばらく飲んで、しばらくして顔を上げて嬉しそうな笑顔で「…ほんとおいしい…」と静かに言うシーンを見れました。 僕も飲みましたが、ちょっとパワフルに甘かった。でも、懐かしい味がしました。
真夏になったら多分止めますので、それまでにぜひお楽しみに来て下さいね。
それでは…今週末も本当にありがとうございました!