bikescafe.jp

(2014-6-5)

もみじイチゴとマタタビと。

昨日、要害山の山中を探索していたら、地面に沢山の新しいマタタビの実が散乱していました。 (なんだ)と思い見上げると、側に生えたマタタビの木の 僕の頭より高い場所で直径5cmほどの枝がバッキリ折られ、さらにそれについた細い枝もポッキリ折られ、実が無くなっていました。
こんな高さの、こんな太さの枝を折る事が出来る動物は熊しかいません。そして熊もネコ科(ネコ目クマ科)の動物です。
僕は(ははぁ、熊め、ここでマタタビを食べてウットリしたな…折れた部分の新しさと新しい実の状況から云って昨夜あたりに食べたな)と推測しました。
近くにはもみじイチゴもオレンジ色の果実を付け始め、こちらは熟れた果実だけを丁寧に1粒ずつ摘まみ食いした様子でした。
マタタビともみじイチゴの枝の先を剣鉈で払い、写真の為に持ち帰りました。 キウイもマタタビと同じ科だそうです。
山には沢山食べ物がありますね。




(2014-6-4)

熊の棲む森はこわい、そして とても美しい。

川部から入った要害山の山中で草刈りをしていた農家のご婦人に「すみませーん!」と丁重に声を掛け、何か熊のエピソードをご存知無いか訊いてみた。すると、「私は見た事無いのだけれども、知り合いの家の柿の木に熊が来て柿の実を食べてたらしくてねぇ。その木の近くに大きな柿の入ったフンと足跡があったって言ってましたよ。」との事。
僕が今だにある種の驚きを隠せないのが、4月末の熊による老女襲撃事件や5月の若熊捕獲があった地点から法定速度で走り、道間違えをしなければ、間違い無く10分も掛からないエリア内にTSUTAYAやMax Value、コメリやひらせい、24H営業のガソリンスタンドやセブンイレブン等がある、という点だ。 バイクスの場所の方が余程不便だ。
だが、地域一帯の住民の皆さん多くの方が、「まさか家の後ろに熊がいるなんて」とご存知無かった。熊1頭2頭ではないのだ。今日僕が見た熊痕も新しいものが幾つかあった。
今の日本の普通の自然観、常識知識、山間部の集落が直面している環境の現実…と云うのをまざまざと教えられた2ヶ月間だった。
さて…
今日最後の調査地にしていた平林城址付近。土塁の堀の外は、手付かずの野生の場所だ。 獣道にもなっているであろう踏み道を上った。 小さな踏み道の両脇は笹藪と広葉樹木の森だ。昼なお薄暗い。 もちろん周囲に全く人はいない、独りぼっち。20分ほど山の上へ進んだか。胸まで伸びた笹藪で、葉の擦れる音がする。「ファサ」「ファサファサ」。風が笹葉を鳴らすのか落ち葉が笹葉に当たるのか、もしくは…。
藪の下は全く見えない、緑の世界だけだ。こわい。とてもこわい。
今日の為に高知から取り寄せた尺長の剣鉈をぐっと握ると恐怖が薄らいだ。もし今日この土佐剣鉈が無かったら、こいつがいなかったら、これほど林道を外れて放置された暗い杉林の中へ、林道の奥の獣道へ、登山者カードに誰の名前も書かれてない要害山の登山道の先へと歩を進められなかったのは間違い無い。そしてそれが出来たから多くの熊痕を見つけられた。 意を決めて剣鉈を肩高さに構え静かに深呼吸をし、膝を曲げ、腰を落とす。万が一、実は熊が近くにいて、それもこちらに向かって来ていたとしても、迎え撃つ心づもりで膝立ちになる。撃つ部位は分かっている。
現代の伝説的羆撃ち、久保俊治さんの行動を真似て、藪の下の世界に視界を降ろした。 すると本当だ。 笹藪を上から見下ろしていた時は中は何も見えなかったが、笹藪の下は意外に先が見通せる。
ゆっくり身体を回し、両側 何も無いのを確認し再度身体を上げた。笹藪の中での身体の捌きを勉強出来た。いつかこの環境でテント泊してみたい。
しかし、木漏れ陽が射す熊棲む野生の森は、畏布と美しさが共存している。魅了されっぱなしだ。
さて…朝から出っぱなしだ。
ぼちぼち切り上げて帰らないと、奥さんが「ウガーッ」と怒り出す。 これはこれで こわいです。 村上市内に海鮮や野菜の買い物に行く約束をしたからです。
さて、また木曜日から宜しくお願い致します!




(2014-6-4)

熊の杉の皮はぎ@平林城址 2。

こちらはより大きな皮はぎの痕です。 杉も、皮を剥ぐときれいな琥珀色のシロップが滲み出ます。熊はそれも舐めます。蟻やクモが舐めていました。
この傷痕も いずれ樹洞に育って行きます。
この木には 周囲や裏側にも幾筋もの爪痕が残っていました。