bikescafe.jp

(2014-7-3)

熊棲む森から。

「熊の出る山で熊を探して何が楽しいんだよ。奥さんが怒ってるだろう」と、親しくして頂いている、アルプス系の登山愛好家でもあるビジネスマンのSさんが言いました。その通りです。
怒ってると云うより、やはり心配し呆れている。すまないと思いますが。
Sさんに言いました。「僕はスノーボードや渓流釣りで山に行ってました。MTBもしました。バイクにも乗りますし、危険でアドレナリンが出る瞬間を沢山経験しました。熊探して独りで山の中にいる圧迫感は凄いです、上記の遊びと次元が違います。潰されそうになる時もあります。でも、終わって森を出ると…説明の出来ない素晴らしい生きてる実感がやって来るんです。その森も含めて、その自然の美しさを身体中で感じます、何かへの感謝が出ます」と話すと、「うーん、そういうものかぁ。何となく分かる気もするがなぁ」とおっしゃいました。
言葉や写真だけで理解してもらうのも難しい、最近は自分だけが分かっていればいいのだろうなと感じます。
美しい森、下草を踏みながら歩きます。




(2014-7-3)

宮崎先生。

宮崎学先生は、熊は「森の改変者」だと言う。
なるほど。本当だなぁ…と思う。
熊は気紛れで木に傷を着けてない。 山中の立ち枯れの木の側まで寄ると、かなりの高い割合で内部のアリや幼虫を漁っている、爪痕も残っている。
こうして熊に剥がされた立ち枯れの木はより早く倒れ、より早く土に戻る。勿論また若い木の芽が周囲に生えて来る。確かこうした木をアラスカでは「ナース・トゥリー(看護師になる木)」と呼んでた。
熊痕を観察する注意に山を登る疲れが加わり、進むにしたがい自分の警戒オーラが薄まり、森に馴染んで行く実感が訪れて来る。
熊への恐怖はない。
バッティングしてしまったら何かしら戦うか自然に対処すればいい…と感じる。 これ。
この感覚。鳥達の声、小さな獣の動く音、風の音、葉や枝が擦れる音、小さなせせらぎの音、木漏れ陽、真に新鮮な空気。
自分も自然の一部になっている…と感じる時。
忘れがたい、素晴らしい感覚。




(2014-7-3)

Smells like a Bear.

未舗装の林道を歩み進んだ先の行き止まり。そこから斜面を少し降りた小さな平場にはクマイチゴの高い棚がある。 が、今週は本当に完食された。一番上に2、3粒残ってるだけだ。
微かに何か獣の匂いがする。そこまで行くと、ポッカリと草や蕗の茎が倒された丸い場所になっている。蕗が千切られてもいる。場所のこのサイズ、この匂い、そう前じゃない時にここで熊が座って採食していたと思う。 もしかして歩いて来る僕を察知して移動したのかも知れない。ここではカモシカにも猿にも遭っている。
本当に熊は凄いな、なかなか見れないな…と、腰を落として見回す原で。