bikescafe.jp

(2008-5-11)

野菜くるくる。

肌寒い土曜日でございました。GWとは違い、寒くてテラスが使えなく残念。人生も難しいが、お天気も難しい。久しぶりの友人や後輩、遠方からの常連様、ハッピーなカップルになった友人らにゆっくりして頂いた土曜日です。
富山湾で揚がる「白エビ」をご存知ですか? その存在を知ったのは1月程前のテレビでした。ホタルイカ漁と重なる今時季に、ホタルイカより遥かに少ない量で揚がる比較的小さなエビの事で「とても美味」との事でした。以前からバイクスに卸してくれる鮮魚商サンに尋ねていましたが、市場にいつも出る訳では無くて有る時と無い時があるんだよ…でした。昨夜急に思い出してオーダーかけていたところ、今朝は白エビが1ヘギ入荷しました。南蛮エビの半分程の文字通り白いエビです。小さいながら品の良い甘さが特徴で、これと自家製アスパラとミニトマトの塩味のパスタを数量限定でランチメニューにラインアップしたところ、白エビが高価なので「ズワイガニパスタランチ」より高値なのですが、市内からお越しの大人のお客様にあっという間に売り切れてしまいました。勿論僕らも試食しましたが、先に記したような控え目ながらも上品な甘味がエビからスープに移る、女性の好きそうなパスタでした(バイクス裏のアスパラは本当に美味です。こんなアスパラ
を僕は今まで食べた事が無い。今日はアスパラを採りきった為に完売しました。)。スタッフ皆喜んでパスタをすすってました。面白いのは完全に火が通っても白エビは白いままなのです。僕の中で富山や石川金沢は、新潟より控え目ながらも大変品の良い街(都市)というイメージです。僕は野際陽子サンのクラスのあるスタイルが好きなのですが、あの人がまさに富山のイメージです(他に立川志の輔サンだったかな…ためしてガッテンの人。知的な人多し)。富山の隣の金沢出身で、在新潟の和食料理長にお話を伺うと、あちらは全国からの(主に東京からの女性の方)観光客でとても賑わっており好景気だそうで、東京からのアクセスのインフラ等は新潟の方が遥かに条件が良いのに、憧れの金沢(毎年フィガロジャポンが特集する。)を目指す方が沢山いるそうです。金沢現代美術館の躍進も同じですよね。ハコ物行政(僕もその世界の住人だったが…)に頼ってきたこの県と、ハコ物(原発含む。)や道路に頼らず
、確固たるビジョンで品の良い「まち作り」を成し遂げた彼の県(資産、持ち家比率、進学率、住民幸せ満足度、どれも軒並み高い。)の、(何が違うのか…)と時に考えます。新潟と逆で富山ではラーメン店のように回転寿司店があり、回転寿司店のようにラーメン店が少ないそうです。バイクスには富山のお客様が結構多くて、皆さん色々教えてくれます。「いつでもいらして下さい!」と言って下さるので、余り先にならない内に富山石川金沢は旅してみたいと思います(…淋しく独り旅カヨ…)。
最後に「20種野菜のパスタ」の野菜の水切りをくるくる回しながら、おやすみなさい!




(2008-5-10)

明日は母の日…だったか…

業者サン達から「母の日用カーネィションのギフト」申し込み用紙を送られていましたが、すっかり明日の事は忘れていました。ですがスタッフの文チャンが優しい事にオフクロに、きれいなカーネィションのポットをプレゼントしてくれた事で(明日は母の日か…)と思い出すのでした。何をすればいいか、何も思い付きません…。好きな味のパスタでも作ろうか…。アイデア困った!




(2008-5-10)

タイラーD

(こんなにも凄かったか!…)、最近約9年ぶりに映画「ファイト・クラブ」を見続けており、当時は全く気付かなかったディビッド・フィンチャー監督やブラッド・ピット、エドワート・ノートン達の込めたメッセージに囚われています。当時も友人達と「D・フィンチャーが凄い映画作ったみたいだ。セブン以上だって。」と話題になったのを記憶していますが、観終わった時の感想は(物質主義、留まらない物欲への批判なんだな。その反対のものとして、ファイトで感じる生の充実感を描いたんだ。)程度にしか考えませんでした。ですが今、最近フと見始めてから強烈にインパクトを受けています。この映画はむしろ今の日本に完全に通じる批判とメッセージの塊だ、 と。Eノートンが母校イェール大学での講演で述べた「社会の閉塞感により爆発する暴力」をどう考えるか、や、分かりやすい「物欲の充実が心を満たすか?」というテーマもファイト・クラブにはありますが、僕の最も好きなシーンでありこの映画の真髄だと思うのは
チャプター14のシーンです。真夜中の寂れたコンビニに押し込んだタイラー(Bピット)は「ヤツを解放する。」と言って、一人で店番をしてる店員のレイモンドを強引に裏口に引きずり出し膝まずかせ、彼から財布を抜き取り後頭部に銃をガッチリ押し当てます。タイラーの後ろではタイラーの友人のジャック(Eノートン)が「タイラー、やめろ!」と叫びますがタイラーは思い返す事も無くレイモンドに言います。「レイモンド。今からお前は死ぬ。」、訳分からないレイモンドはブルブルと泣きながら「お、お助けを〜、ノー!ノー!や、やめて下さい〜」。彼の財布の中の免許証を抜きながらタイラーが「お前はアパートの地下の小部屋で暮らしてるんだな。」、次に見つけた「市民大学 学生証」を見て「学生だったのか。レイモンド、お前は何を勉強した?」と質すとレイモンドは「い、いろいろです〜」と泣きます。タイラーは銃身で彼の頭をコンと叩いて「フザけるな!お前は何を勉強したんだ?」。レイモンドは
震えながら「動物、動物!生物学です」、タイラーは「生物学か。お前は何になりたかったかんだ?」、答えられない彼に「レイモンド!レイモンド・ハッセルは何になりたかったんだ!!?」とレイモンドは「獣医です、獣医です!」、「獣医か、じゃあもっと勉強しなきゃな。」と言うとレイモンドは「諦めました…」。
「諦めた?死ぬ方がいいか。こんなコンビニの裏でこんなザマで死にたいんだな?」、レイモンドは「イヤです、イヤですぅ」と泣きます。
静かにタイラーが言います、「行け。お前の住所はチェックした。6週間後、獣医の勉強を始めてなきゃお前を殺す。行け!走れ!」とレイモンドをコンビニから逃がします。
ジャックが「フザけるな!こんな悪ふざけしやがって!気分悪いゾ!」と怒りますが、タイラーはレイモンドの逃げた闇を見ながら落ち着いて話します、「…ヤツはどうかな。明日はレイモンドには最高に美しい朝になるだろう。オレ達が今まで食ったどんなご馳走より美味い朝飯をヤツは食べるだろうな…行くぞ。」と弾の入ってない空の銃をジャックに投げて、コンビニを後にしました。
ジャックがナレーションしますが、「誰もが、人生の持ち時間はいつかゼロになる。それを自覚すると、初めて人生は大切なものになるんだ。」。
こういう感覚が体で感じられるのは、やはり本当に「死」を体感的に意識した者だけ…とは言い切りませんが、今まで幾度か自身でも「死」を間近に感じた身にはとても鮮烈に同感出来ます。このシーンは何度も見直します。
ファイト・クラブのタイラー・ダーデン(北欧家具の奴隷にしてブランドボーイであり会社に隷属する若者ジャックの理想の姿、生き方をする分身。)は痺れる程に挑発的です。画面を見ながら僕らに問い掛けます。「お前は仕事そのものじゃない。お前は財布の中身じゃない。ましてや銀行の預金額でもない。お前の運転する車なんかでもない。お前はファッションのカーキパンツじゃない……お前らは、ただ歌って踊るだけの、この世の屑だ。」
原作小説にも惚れ込んだブラピとエドワート・ノートンは、同世代の若者達(当時ブラピは35。)に投げたいメッセージをファイト・クラブに込めて、それは成功したように思います。
(何かがおかしい、何かが狂ってる…)と感じている人達に、再度見てもらいたい作品です。9年前より、より良く理解出来ます。