Autumn's ルーティン・ワーク。
秋刀魚を捌いたり、栗を仕込んだり、鮭のホグシ身を準備したりする秋の食材の仕込みのひとつは「いくら作り」です。去年は角田浜で揚がった鮭の卵や鮭そのものを沢山頂いたなぁ、今年はどうかなぁ…。
まぁ別段 新潟にいますと鮭の卵は最初は北海道から、秋田や山形新潟と下って豊富に水揚げされて来ますから毎年美味しい「いくら」が作れます。
鮭卵を塩ぬるま湯にしばらく浸けて、その中で丁寧に指の腹でパラパラにほぐしてもらうのは主にスタッフの仕事です。それから念入りに卵を包んでいた薄皮は勿論、潰れた卵の皮を指で取り除ききれいに洗ってから水を切り、醤油と朝日山と本味醂からの調味液に数日浸けたら食べ時です。
いくら作りの季節が来て、いくらを作っていると亡くなった祖母を思い出します。この時季の新米の熱々の白飯に鮭ホグシ身をまんべんなく載せて、真ん中にいくらを載せてさらに醤油をかけ、刻み乗りを散らしワサビを隅に置いた「いくら丼」。塩気は少なくはない丼でしたが、本所育ちの本物の江戸っ子だった祖母は新潟のケアマンションで出される食事を「もう味が薄くて食欲が湧かないわよ」といつも言っていたので、僕が作る味の濃いいくら丼を本当に喜んでくれました。デザートの杏仁豆腐も。
懐かしいものです。
一度は自分で作ったいくらを「もう いくらなんて見たくないぜ!」と言えるほど腹いっぱいに掻き込んでみたいですが、実際は食べながら「いくら」がいかに高いか考えてしまい、箸で一粒ずつ摘まんで口に運び、ティースプーン1杯分ほど食べたら「今日はよくたべたなぁ」と満足するみみっちい僕にそんな男気溢るる食事など出来ようがありません。せいぜい肉の少ない野菜炒めにただの鶏の卵を載せるのが精一杯、精一杯な男気です。
そんなみみっちい男より…今週も皆様ありがとうございました!。また木曜日にオープン致します、宜しくお願い致します!