フェデラーvs
ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダルは対照的なテニス・ファイター達です。26歳、スイスのフェデラーはBMW5シリーズかベンツのEクラスセダンを運転する、ドイツかスイスの金融系のインテリなビジネスマンのような柔らかなルックスで全くマッチョな体格では無く、ミドルロングのブラウンヘアーをフワッと空に靡かせてプレイ中に決して叫び声を上げたりせず無言でプレイします。片やスペインの英雄22歳のナダルは、濃茶のロングヘアーをかっこよくナイキのバンダナで縛り、褐色に焼けた肌に全身をゴツゴツした筋肉の鎧で鍛え上げ、アウディのQ7かポルシェ・カイエンのような巨体SUVが似合うような、サーブの度、レシーブの度、「ウォッ!ウォ-ッ!」とウィンブルドン決戦コートに雄叫びを轟かせるワイルドガイです。若者受けは間違い無くスペインの伊達男、ナダルでしょう。しかし…ウィンブルドンの芝コートで無敗を誇るのはフェデラーです。物凄くクールに強かなプレイをする、史上最強と言われる世界ラン
ク1位フェデラー。そんな無敗のフェデラーをどうしても倒したい世界ランク2位のナダル。今夜…歴史に新たな名を刻むのはどちらでしょうか…。
テニス…そう、テニスには苦い青春の思い出があります。
20代前半の頃です。同期生で長年一緒だった彼女は、東京の有名ラジオ会社の役員のお嬢でした。家族でジャズを演奏するような家の美人3姉妹の長女で、アチラの家族全員が武蔵野のハイソばかり集う高級テニス倶楽部の会員でした。お互いの家をしょっちゅう行き来していたのですが、ある日、アチラのパパから「リョウタロウ君、君もそろそろテニスをやりなさい。次の土曜日、皆で倶楽部に行ってテニスをしよう。」と誘うのでした。僕は「それはいいんですけど、僕、テニスウェアを持ってません。アウトドアで着てるTシャツと短パンとスニーカーでいいですか?。」 と尋ねると、「然るべき場所だからね、君に合うウェアはこちらで用意しよう。心配要らないよ。それを着なさい。」との事でした。渓流釣りにデートに行く事もよくあったので、たまに家族でテニスデートというのが彼女は嬉しそうでウキウキしてました。僕は何となく、理由無き不安を抱いていましたが…。
さて、テニス当日。まるでハリウッド映画に出てくる高級ゴルフ倶楽部のような雰囲気のテニス倶楽部に行きました。彼女から「コレを着てネ。」と渡されたテニスウェアは、テニス用の品の良い退屈なデザインのタイトなポロシャツと、これまた太ももまで露になるピッタリした水色のテニスショーツです。(なんか古くせーなぁ…)と思いながらもココは武蔵野のハイソなテニス倶楽部。僕だけアウトドア・カジュアルではいられません。ヤムナクそれを着て、皆でテニスが始まりました。小1時間程プレイした後でしょうか。小休止をするので、全員で片側のコートに集まり、僕以外で今日のプレイをあーだこーだと話していた時です。3姉妹と弟が、僕の姿を見ながら「クスクス」と笑っています。「どうしたの?なんかヘンかな。」と訊くと2女と3女の女子大生達が「クスクス…だってぇ、リョウタロウさん、パンツ姿が妙にモッコリしてんだもーん(笑)。そこに目が行っちゃってー。なんか面白いよー(笑)。」とほざく
ではありませんか。「ま、待ってくれ!オレは本当はもっとユッタリした自分の短パン履きたかったんだよ。でも、君達のお父さんがコレ着なさいって貸してくれたんだぜ!。」と理解を求めたものの、なぜか余計に彼らを笑わせてしまっています。アチラのパパはパパで、「別に変じゃないじゃないか。気にする必要は無いよ。」と庇ってはくれても、元々自分でも恥ずかしかったのです。もうそれ以降は「モッコリ」と言われたパンツと言葉が気になって、テニスの内容は全く記憶にならず、前屈みでコートを走っていました。
アチラの家族と別れて夕食のレストラン(小金井公園沿いのハンバーグレストラン。)に向かう帰路を走る車の中で、ヤケ気味に彼女に「お父サンのせいで、モッコリ君になっちまったじゃないか。だからオレはアレが着たくなかったんだよ…。」とボヤきましたが、さっきは一緒に姉妹で笑ってたくせに「気にしないでよ、変じゃなかったよ(笑)。」と言います…。僕のつまらないテニスの思い出というのは以上です。アレ以来、ラケットは卓球のしか握っておりません。凄いテニスの試合を観るのは面白いですが、どう考えても僕にはテニスが似合うとは思えません。やっぱり雪山や渓流で、気ままに遊んでる方が性に合ってると思います。前屈みで走ると、つんのめりそうになるからです。
ではでは、週末お越し下さいました全てのお客様へ…ありがとうございました!