Do you hit me?
「Do you believe me?
And do you need me? 君無しじゃ恋はおぼろ 愛されて咲くという 向日葵のような 熱い肌に恋をしよう
Do you remember?
A love so tender? 揺れる胸は手にし頃 罪深き夏という 魔性のときは 終わりなきロングバケイション
二つの影が寄り添うたびに 口づけ交わす砂の上
高気圧はVenus達の交差点 愛欲にときめくStage
あの空へ しぶき上げて 太陽にKissをしよう…」
24歳の真夏の夜、東京駅の真ん前のパーキング。ウェイウ゛ィなロングヘアに自慢のデニム、赤いスポーツカーですぐ見付かった。「お帰りなさい!」、「ただいまぁ。サンキュッ。」と言って、新潟から持って来たバッグをトランクに仕舞って、赤いプレリュードの助手席に乗り込む。
(やっと夏休みだ…10日間ゆっくりするぞ…)。彼女のドライブで彼女の実家まで。今夜は1階の和室に寝かせてもらい、明日は少し早く起きて僕の実家まで行って、着替えを積んで三浦海岸に行く予定。でも15分後…
バチィツ!(痛い!何スルのよ!?)と言う間も無く、「チャンと話ししなさいよ!!」と怒られる、突然ひっぱたかれた上に。
東京駅から首都高に乗って、西東京に向かう地下トンネル。首都高は夜でも渋滞する、特にトンネル内は。彼女の車がかなり前の車に接近して停まるので、僕は「もう少し車間距離開けろって。突然停まられたら、突っ込むじゃんか。」と幾度か諭しても、「ちゃんと開いてるよー!大丈夫だよ、私の車なんだから。帰って来るなりウルサイわねぇ。」と言うので、僕はさっきまで働いて疲れてたので、「あぁ、そうか。じゃあ好きにしなよ…」と言って窓の外に目をやった。すると突然視界の外から(つまり運転席から)、彼女の左手が凄い強さで顔面に飛んで来て、先述の言葉まで飛んで来た。彼女は背が高く体力がある。鼻を押さえて「いってぇ…目に入ったらどうすんだよっ。」と言いながら、思い出してた。前回はもっとヒドかった。その夏のある土曜日、僕は新潟の同僚や先輩に頼まれて村松の山奥にヤマメ釣りに彼らを連れて行ってた。その前から彼女がその土曜日、「新潟に行く。」と言い張るのを「ダメだよ、どうしても現場があるんだ。仕事なんだよ。」と騙し
てたのだ。先輩達に頼まれてたけど、ヤマメに夢中だった僕が一番釣りしたかったのだ。で、ヤマメもイワナも釣れたし楽しい気持ちで3時頃、市内のアパートに帰宅してみると、部屋の前に赤いスポーツカーが停まってる…。正直、体がこわばった。オソるオソる、でも仕事帰りを装って鍵を開けて部屋に入るものの、どう見ても僕のいつもの釣りに行く時のファッションだ、それにスーツも作業服も全部部屋に残ってる事位、彼女は解る、ヤバイよな…。2LDKの寝室に入ると全部カーテンが閉まってる…僕のダブルベッドの上に座ってこちらを見る彼女の両目は暗がりの中、怒りで爛々と燃えていた。女性のあんな目は今まで2回見た。もうそこからはベッドの上で爆弾が爆発したのと変わらない。「騙したわねぇっ!」と叫んで、手に取れる、ありとあらゆる全ての物が怒声と共に僕目掛けて凄いスピードで飛んで来る。僕は部屋の角で立ちながら、顔を隠して背中を丸めて避けていた、ケド当たる、痛い。極め付けは重い目覚まし時計だった。目の高さで、顔の横数セ
ンチをヒュッと言ってガチャーンッと壁に当たって壊れた。彼女は東京のお嬢学校のソフトボール部の主将で、ピッチャーだったのだ。最後はベッドが飛んで来るだろう。これ以上放って置いたら(死ぬな…)と思った僕が暴れる彼女を動けないよう押さえ付けるのに5分は掛かった…と、その時の事を思い出してた。僕は女性に手を上げた事は無い(当たり前だ。)が、手を上げられた事は何度もある。これもそんな感じ。それを思い出してた。
それでも翌朝は何て事もなく早起きして、横浜横須賀道路(通称ヨコヨコ)を走り、逗子を越え横須賀を抜けて佐原で降りた。「出来るだけキレイな海で泳ごう!」と決めて、三浦海岸の南端の金田辺りまで行く。左手が夏の海。
積み換えたCDはサザンの「YOUNG LOVE」。中でも「太陽は罪な奴」ばかりをリピートして、二人で口ずさんでいた。この夜も、帰りは横浜に行ったと思う…。
明日位から、サザン流したりしたら今夜までの経緯をご存知無いお客様は(あー、活動休止したから記念にかけてるのネ…)と思われるだろうな。それだけは避けたい。まさか「違うんです!最近ぼく、メランコリックなんです!」とは言えないし、聞かれてもいないのに。だからしばらくサザンとはお別れだ。部屋で聞けば良いんだし。
8月の4日間で30万人動員するなんて、本当凄いなぁ。サザンは数も質もケタ違い。日曜スタッフのユカちゃんは「サザンて、いいですかねぇ…」と言ってたけど、日本で恋をしたならばサザンは欠かせないと思う。今年一杯はサザンにまた会える。また久しぶりにアルバム集めよう。サザン、ありがとう…。