M-BIC。
飲食店など、お金の事だけを考えたらとても割に合わない仕事だ。在庫を抱え、スタッフを抱え、次の修繕プランを常に抱え、景気の波に揉まれながら。コストパフォーマンスを考慮すれば、もっと稼げる仕事を僕は幾つか知ってる。その仕事で、自分の気持ちがクサるかクサらないかは別にして。農業もだいたい同様だと思う。
でもなぜ、そういう仕事を自分達が選んだのか。シンプル。モノを作るのは楽しいし、それで誰かが喜んでくれる姿はもっと嬉しい。積み重なったオーダー表を前にして感じる高揚感、アドレナリンの噴出。僕にとっては戦いだ。高速のスノーボードやMTB、大物を予感する渓での釣りと同じかそれ以上に燃える。そして僕らを食べさせてくれる。僕と同じく、建設業界でスーツを着ていた過去があるベリー専門農家の阿部サンにとっても、大体似たようなところだと思う。土曜日アフターランチ、そんな男達のカンバセッション…。
阿部サンはアイスコーヒーを飲みにいらした。アイスの話しついでに。
ご存知の方も多いと思いますが、阿部サンの苺、越後姫は有名だ。僕も使わせて頂いてる。だが阿部サンは苺の他にも数種類のベリー類も作っている。僕はそれらをある時はアイスクリームに、ある時は肉料理用ベリーソースに作り変える。今日、阿部サンはアイスを自分のコントロール可能な範囲で作りたいんだ…とお話しして来た。産地直作したいのだ。「ウワァ、いいアイデアですね!試作なら僕らもお手伝い出来ますよ。今までも作って来ましたし。ウチの女のコ達皆、アイス上手に作りますからね!」と言った。実際に彼女達は、僕より上手にアイスを最後までメイクする。阿部サンが言う。「エツジ君、一緒にアイス作る会社作ろうよ。販路はデパートとかNETを僕は持ってるし、規模は小さくて良いんだ。自分達でコントロール出来る質のものを作りたいんだ。」、そのお気持ち良く分かる。
頭が直ぐに弾き始める。業務用のアイスマシンが幾ら、専用ストッカーが幾ら、ハコの大きさ、建設費用が幾ら、最初数ヵ月のスタッフ給与が幾ら…なんて事を。大の男二人が本気になれば可能なところだなぁ、なんて。実現させるかどうかは別にして、こういう話は幾らしても楽しい。
ベリー類専門のアイスクリーム社として当初は鳴らす。季節で出てくるベリーは変わるから面白いな。ミーハーで飽きやすい僕は、直にベリーじゃないアイスも作りたがるだろう。それは限定や裏メニューにすれば楽しいかも。オシャレでクールなカップに入れてWEBで全国に流す。カップのデザインやWEB担当はジ-ニアス川チャン以外に考えられない。文チャンが「わたし、売り子やりたーい!」と言ってる(笑)。可愛いコがすぐに揃うだろうな。彼女達の未来を開くのは、彼女達自身だ。それが分かれば自然にやる気は溢れる。
阿部サンと2時間、ランチから休憩無いのでさすがに疲れた。でも会社の名前は勝手に浮かんだ。阿部サン抜きで申し訳ありませんが(笑)。
「Matsunoo berry ice company」、マツノオ ベリー アイス カンパニー。あまりセンス良くないかな…。
美味しそうだなぁ、ブラックベリーやラズベリーのアイスが。近く作ろ…おやすみなさい。