外国人の友達へのE-Mail。
○○(あるアジアの暖かい国)への避難、本当にお疲れ様でした。
しばらくゆっくりと気持ちも体も休めて下さい。 電話ありがとう。少しは気が晴れたようだけど、まだまだ憤慨してるようだね。 でも一つだけ僕の思いを聞いて欲しい。 確かにこの災害は本当に悲惨で、またそればかりで無く日本と言う国家の幾つかの問題も浮かび上がらせているのも確かです。君やお友達、同僚の外国人の皆さんの言う意見や思いも正しい点も多々あるでしょう。同時に、先進国史上最大最悪の、避けられない地震災害が日本を直撃した事も事実です。僕達日本人を筆頭にして、どの先進国(特に西欧諸国)も経験していない悲劇が日本に降り掛かりました。殆んどの悲惨な事を誰もが初めて体験して混乱し苦しんで、戸惑って悲しんでいます。 こういう時、まさに今、例えば「日本は最悪だ」「日本政府は最低だ」「こんな原発事故は最悪だ」「日本は世紀末だ」「日本人は愚かだ」と、言うのは簡単です。でも「日本は何してんだよ、馬鹿野郎。俺は去るぜ」と言ってこの惨状を見る前に「自分は何が出来んだよ、この国に。」とも、静かに考えてもらいたい。 いつかは東京に放射能物質が流れて来るかも知れない。でも、まさに今、今夜。福島や宮城、岩手の被災者でぎゅうぎゅう詰めの避難所の室内は1℃や0℃の冷たい部屋で、明日の朝までに弱い赤チャンや老人に「死」がやって来ようとしています。まさに今ね。 こんな惨状を止めよう、名前も顔も知らない誰か達を救おうと、君達より年齢の若い隊員、警官、消防士、東電の社員達が、命の無くなるのを覚悟し決死で原子炉の直下で原発と戦っています。 それは、君達の暮らす東京の都会の人達の命を救う為の戦いにもなっています。 この地震の惨状が全て終わり数年後したら、必ず彼らの知られざる死の戦いの全てが日の目を見るでしょう。日本だけでなく世界中の多くの人達の胸を打つ真実が明るみになるでしょう。勿論、君達と同じ外国人の方でも被災地でボランティアしている人達もいる。 その時に、いま日本から国外脱出した皆さんは(あの時、あの後、自分は何をしていたかな…)と思い出して、「日本から出て、しばらくどっかに避難して、帰って来てまた金稼ぎの仕事始めたなー」と思いたいか、「あの時、私はこの国、または日本の為に何をしたな…」と思いたいか。 誰もが国外待避や東京脱出の前に出来る、苦しみ悲しんでいる人達の為に出来る小さな事があるはずです。 だから凄い男である君にも、日本の為に出来る優しい事、優しい想いを思い出して欲しい。 これは感情的な意見でしょう。でも「心、Heart」の話しでもあります。ビシネスや損得の話でも、理論上正しいか間違いかの話じゃありません。 自分が見捨てなければ、諦めなければ日本も日本人も時間を必要としますが必ず復旧復活します。 ぜひ凄い男でもある君に、それに手を差し伸べてもらいたい。 そちらで落ち着いたら、まぁちょっと考えて見て。それじゃ、そちらでも元気で、Bro!(写真はHAPPY SUGARウチコさんMadeのスペシャル・ケーキです)